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手術支援ロボット「ダヴィンチ」を導入しました
 

はじめに

 泌尿器科では、令和5年12月から前立腺癌に対してロボット支援下前立腺全摘除術を開始。令和6年4月から腎癌に対するロボット支援下腎部分切除術を開始しております。

 

「ダヴィンチ」 da Vinci Xiサージカルシステムとは?

 手術の方法は、開腹手術から始まりましたが、時代と共に急速に腹腔鏡手術への移行が進みました。腹腔鏡手術は、小さな切開創による疼痛の減少。鏡視下に術野を拡大することによる精密な手術操作。気腹圧による出血量の減少といった開腹手術では得られなかった多くの利点がありました。しかし、腹腔内での鉗子の動きに制限があり、特に縫合などには高度な技能が必要なこと。人の手で行われるため手振れや疲労が生じること。2次元の画面で奥行きが分かりにくいことなどの限界がありました。

 これらの欠点を補う支援機器として、「ダヴィンチ」 da Vinci Xiサージカルシステムが開発されました。システムは、サージョンコンソール、ペイシェントカート、ビジョンカートの3つから構成されています。

 

(1)サージョンコンソール

 ロボットを操縦するコックピットです。目の前に術野を立体画像で映し出し、腹腔内の鉗子を遠隔操作で自分の手指のように動かして手術を行います。人の手に比べて多関節で、手振れは無く、腹腔鏡手術より精密な操作が可能になります。執刀医の疲労が少なく、操作も容易で上達が早いとされます。

(2)ペイシェントカート

 4本の腕を持つロボットの本体です。1本は執刀医の目:3Dハイビジョンカメラ、3本は執刀医の腕:右腕、左腕ともう1本、猿の尻尾(または象の鼻)を使って手術を行います。それぞれの腕には、把持、切開、縫合、クリップなど様々な手術用途に合わせた器具(インストゥルメント)を付け替える事ができます。カメラも執刀医が自在に動かし、ズームイン・アウトも行います。

(3)ビジョンカート

 ロボットの頭脳の部分。カメラからの画像の収集・処理を行い、鮮明な3D画像を術者に送ります。執刀医の見ている映像をモニタに映して助手、看護師と共有します。

 これらのシステムを用いて手術を行うことにより、従来の腹腔鏡手術よりもさらに精密で安全な手術を可能にしています。

 

ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術について

 前立腺がんの手術は、2012年からロボット手術が保険適用となり、既に広く普及しております。当科では2名の腹腔鏡技術認定医による腹腔鏡手術を手掛けて、良好な手術成績を収めておりました。この度ロボット手術を導入することで、さらに上質な手術を提供いたします。
 

診療内容・特色

 地域の基幹病院として、泌尿器科領域全般の診断、治療を行っております。日本泌尿器科学会専門医2名を含む医師4名にて診療しています。

(1)泌尿器癌
地域がん診療連携拠点病院として、泌尿器がん(腎癌、腎盂尿管癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌など)の診断と、診療ガイドラインに沿った標準治療を行っております。手術については、日本内視鏡外科学会技術認定医2名にて、腹腔鏡手術、ロボット支援下手術を行っています。
 
(2) 尿路結石
尿路結石(腎結石、尿管結石、膀胱結石)に対する診断、手術:体外衝撃波結石破砕術、経尿道的尿管結石破砕術を行っています。
 
(3) その他:排尿障害、尿路感染症など。
地域医療支援病院として、紹介患者さんの診断や治療、病状の安定した患者さんの逆紹介など、かかりつけ医の先生方との連携に努めております

 

手術実績

手術内容 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度 2023年度
ロボット支援前立腺悪性腫瘍手術         16
鏡視下前立腺悪性腫瘍手術 13 37 36 54 28
鏡視下腎悪性腫瘍手術 12 19 16 11 4
鏡視下腎部分摘除術 2 7 5 4 2
鏡視補助下腎尿管悪性腫瘍手術 11 5 7 6 12
鏡視下膀胱悪性腫瘍手術 3 2 7 4 9
経尿道的膀胱悪性腫瘍手術 65 77 85 95 139
精巣悪性腫瘍手術 0 2 1 2 1
経尿道的前立腺切除術 0 0 1 3 2
経尿道的尿管結石手術 39 38 20 29 31
経尿道的膀胱結石手術 5 3 9 17 9
体外衝撃波結石破砕術 76 75 30 29 20
その他 11 15 24 27 33
合計 237 280 240 281 305

医師紹介

部長 望月 英樹(もちづき ひでき)

  • 医学博士
  • 日本泌尿器科学会専門医、指導医
  • 日本内視鏡外科学会技術認定医(泌尿器腹腔鏡)
  • 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会泌尿器腹腔鏡技術認定医
  • 日本ロボット外科学会専門医(Robo-Doc Pilot国内A級)
  • 泌尿器ロボット支援手術プロクター手術指導医(膀胱・前立腺)
  • da Vinci手術認定医(術者)
  • 日本癌治療認定医機構がん治療認定医
  • 広島大学医学部臨床教授 

平成8年卒

令和4年4月より当センター勤務
 

医師 西田 健介(にしだ けんすけ)

  • 日本泌尿器科学会専門医、指導医
  • 日本内視鏡外科学会技術認定医(泌尿器腹腔鏡)
  • 日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会泌尿器腹腔鏡技術認定医
  • da Vinci手術認定医(術者)

平成23年卒

平成31年4月より当センター勤務
 

医師 桐島 史明(きりしま ふみあき)

  • 日本泌尿器科学会員
  • da Vinci手術認定医(助手)
  • hinotori手術認定医(助手)


令和元年卒

令和5年4月より当センター勤務
 

医師 椎野 裕登(しいの ゆうと)

  • 日本泌尿器科学会員
  • da Vinci手術認定医(助手)


令和4年卒
 
令和4年4月より当センター勤務