整形外科このページを印刷する - 整形外科

診療内容・特色

二次保健医療圏域名

当科は広島中央医療圏(東広島・竹原地域)における中核的急性期病院としての役割があり、外傷の症例が多いのが特徴です。別表に示すとおり、年間約900件前後の手術を行っております。その内訳は手・肘の外科領域が最も多く、次いで高齢化社会を反映し、大腿骨近位部骨折に対する人工骨頭置換術・観血的骨折手術、変形性関節症に対する股・膝関節の人工関節手術、膝関節鏡視下手術となっております。また腰部脊柱管狭窄症・腰椎椎間板ヘルニアなど脊椎疾患に対する手術、足関節の関節鏡視下手術や外反母趾などの足の手術も徐々に増えています。さらには、骨折の治療のみならず、骨折予防治療にも力を入れており、平成25年からは月2回骨粗鬆症外来を設け、骨粗鬆症予防にも力を入れて行っております。

平成19年1月、今田英明医長が日本手外科学会認定第1回手外科専門医に認定されたことに基づき、同年4月より当院は日本手外科学会基幹研修施設として認定されました。 この施設認定には以下の条件を満たしていることが必要とされています。

  1. 手・肘に関する手術が3年間平均して100例/年以上あること
  2. 臨床指導に当たる手の外科専門医が1名以上常勤していること
  3. 別に定める手の外科専門医研修カリキュラムに基づく研修ができること

以下に当院で行っている治療について説明します。

四肢の外傷(骨折・靭帯損傷など)

骨粗鬆症を基盤とした脆弱性四肢の骨折や交通外傷などによる高エネルギー外傷による骨折をはじめ筋肉、靭帯、末梢神経などの損傷に対して最新の知識と技術を導入し、手術侵襲の軽減、術後外固定期間の短縮、早期リハビリ開始を目指しています。特に近年増加傾向にある高齢者に好発する大腿骨近位部骨折(大腿骨頸部・転子部骨折)に対して、当院(急性期)にて手術を施行し、術後3-4週で当院を退院となりますが、術後リハビリの不足分を回復期リハビリ病院として近隣の病院と連携(大腿骨頸部骨折地域連携パス)して治療の継続が途切れないように行っております。

手外科・肘の外科(野球肘などのスポーツ障害を含む)

一般の方は“手外科”ときくと、扱う範囲が非常に狭い特殊な分野のように思われるかもしれません。しかし整形外科のなかで指、手、手首、肘といったいわゆる手外科専門医の扱う疾患は実は非常に多いのです。代表的な疾患を以下にお示しします。

  1. 外傷(骨折、脱臼、腱損傷、手指の切断など):手指や手首、肘関節の骨折は日常診療において最も多い骨折のひとつです。手首の骨折(橈骨遠位端骨折)では最新の内固定材料(金具)を使用することにより、ほとんどの場合、術後のギプスを約10日前後ではずすことができます。また手指の切断や軟部組織(皮膚、筋肉など骨以外の組織)の挫滅、欠損に対してマイクロサージャリー手技(顕微鏡を用いて細い血管や神経を縫合する技術)を用いた再接着や皮弁術(離れた部位から軟部組織を移動させて欠損部を被覆したり機能を再建する方法)も積極的に行なっています。
  2. 末梢神経障害(手根管症候群、肘部管症候群など):手のしびれ、痛みの原因としては首が良く知られていますが、実は、手首(手根管症候群)、肘(肘部管症候群)さらに肩周囲にて末梢神経が圧迫されることが原因となっていることもよくあります。このような症状に対して神経伝達速度、筋電図など電気学的診断法に基づき客観点に評価し診断・治療を行なっております。
  3. スポーツによる障害(野球肘、指、手関節の靱帯損傷など):子供さんから成人の方まで、上肢のスポーツ障害、すなわち指、手、肘の脱臼や靭帯損傷、野球肘などに対して専門的な立場から治療を行なっています。これらに対してレントゲンだけでなく、CTやMRIといった最新の医療器械を用いて正確な診断を早期に行うよう工夫しています。野球肘に対する手術(遊離体摘出術、関節形成術など)においては関節鏡を利用することにより、できるだけ大きく切開せず、早期のリハビリが可能となるよう心掛けています。また術後のリハビリについては、一般の方々にも分かりやすいパンフレットを理学療法士とともに作成し、きめ細かい指導ができるよう努めております。
  4. 年齢に伴う障害:肘関節や親指の付け根は加齢に伴い変形しこれが原因で痛みが生じることがあります(母変形性肘関節症、指CM関節症など)。これらに対して投薬、リハビリ、注射といった保存療法や手術治療を行なっております。また腱鞘炎に対しても治療を行なっています。近年、手指や手首の腱鞘炎に非常に効果のある注射が導入され、手術しなくても治る患者さんの比率が大幅に向上しました。
  5. リウマチに伴う障害(関節変形や腱断裂など):手指の変形、関節の痛みに対する滑膜切除術、人工関節置換術などの手術的治療を行なっています。

脊椎疾患(腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、頸椎症、圧迫骨折、脊髄損傷など)

整形外科外来を受診される方のなかで最も多いのは腰痛です。当科ではレントゲンをはじめ、CT、MRI といった最新の画像診断を積極的に取り入れ、正確な診断・治療を心がけています。手術においては手術用顕微鏡を導入することにより侵襲(負担)を最小限するよう努力しております。また本院の前身が国立療養所広島病院であったことから脊椎カリエス(脊椎の結核病変)に対しても内科と協力体制のもと治療可能です。代表的な疾患を以下にお示しします。

  1. 年齢に伴う障害:年齢を重ねるに従い椎間板が摩耗し椎体は変形(骨棘形成)し神経を圧迫し四肢に痛みやしびれが生じるようになります。腰椎に起こるのを腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)、頸椎に起こるのを頸椎症(けいついしょう)あるいは頸髄症(けいずいしょう)といいます。症状が進行し日常生活に支障が出ている場合には除圧術が必要となります。また骨粗鬆症による脊椎の圧迫骨折も年々増加傾向にあります。
  2. スポーツによる障害:若年者では椎間板の一部が出っ張って神経を圧迫する(ヘルニア)が生じ、腰痛や四肢の痛みを生じることがあります。多くは保存的に治療となりますが、麻痺が生じたりすると手術治療が必要になることもあります。思春期では脊椎の一部が疲労骨折し分離症(ぶんりしょう)が起こることがあります。
  3. 外傷に伴う障害:程度の軽いむちうちから四肢麻痺や膀胱直腸障害を生じる脊髄損傷などがあります。重症の場合は緊急手術で除圧術や脊椎固定術を行うことがあります。
  4. 感染による障害:まれに腰痛や頸部痛に発熱を伴い、内科的な異常を認めないのに血液検査で炎症を認める場合があり、MRIで椎間板や椎体に信号変化を認めることがあります。多くは安静と抗生剤加療で改善しますが、まれに手術治療が必要になることもあります。最近は少なくなりましたが結核菌による化膿性脊椎炎を脊椎カリエスと呼びます。

令和2年4月からは、日本脊椎脊髄病学会指導医である藤岡が赴任し、当科でも専門的な立場から治療を行うことが可能となっています

膝関節疾患(変形性膝関節症、靭帯損傷、半月板損傷、スポーツ傷害など)

腰痛の次に多いのはいわゆる関節痛であり、その中でも膝関節はもっとも多い場所です。当科においては最小侵襲手術として内視鏡(関節鏡)による手術を中心に行っております。関節鏡とは膝を1cmずつ数カ所切るだけで関節内部の観察と処置ができるという、日本が世界に先駆けて開発した手術方法です。これにより従来の関節切開手術に比べ患者さんへの負担が小さくなり、術後の疼痛が軽減され、より早期に社会復帰が可能となっています。代表的な疾患を以下にお示しします。

  1. 外傷(骨折、脱臼など):膝や膝蓋骨の骨折は日常診療において頻度の多い骨折のひとつです。関節内骨折の手術では関節鏡を併用し、最新の内固定材料(金具)を使用することにより、ほとんどの場合、術後のギプスを約10日前後ではずすことができます。また膝蓋骨が脱臼した状態を放置すると将来、膝の痛みの原因となるので専門的な治療が必要となります。
  2. スポーツによる障害(前・後十字靱帯損傷、側副靭帯損傷、半月板損傷、離断性骨軟骨炎、膝蓋骨脱臼など):子供さんから成人の方まで、上に述べたような膝のスポーツ障害に対して専門的な立場から治療を行なっています。これらに対してレントゲンだけでなく、CTやMRIといった最新の医療器械を用いて正確な診断を早期に行うよう工夫しています。
  3. 年齢に伴う障害:年齢を重ねるに従い関節は摩耗変形し徐々に痛みを感じるようになってきます。これを変形性関節症(へんけいせいかんせつしょう)といいます。中でも膝関節はもっとも起こりやすい関節であり、同じような病態が股関節、肘関節にも生じてきます。特に膝関節は中年以降の女性に起こりやすく、ほっておくと徐々に変形が進行し歩行困難が生じ日常生活に支障がくることがあるため、早期に専門医の診断、治療を受けることが大切です。変形した関節に対して程度の軽いものでは、投薬、関節注射、リハビリ、装具療法(足底板、膝装具)といった手術以外の治療法を行い、重症例に対しては骨切り術や人工関節置換術を行なっています。人工関節手術の問題点として手術中の出血量が多いことが挙げられますが、当科では自己血輸血(自分自身の血液をあらかじめ採取保存しておいて必要に応じてそれを使用する方法)を行なっています。さらに術中の出血を清潔に回収し、セルセーバーで赤血球のみ分離回収して返血を行うことにより他人からの輸血を最小限に抑えるよう努めています。
  4. リウマチに伴う障害:膝関節の痛みに対する滑膜切除術、人工関節置換術などの手術的治療を行なっています。

 

足の外科(足関節捻挫・骨折、スポーツ障害、外反母趾なども含む)

一般の方は“足の外科”ときくと、扱う範囲が非常に狭い特殊な分野のように思われるかもしれません。しかし、整形外科のなかで足関節や足部は体重を支える大事な部分であり、この部分の障害に対しても治療が必要な病態がいくつかあります。代表的な疾患を以下にお示しします。

  1. 外傷(骨折、脱臼、腱損傷、足趾の切断など):足趾や足首(足関節)の骨折・捻挫は日常診療において最も多い外傷のひとつです。足関節の骨折では最新の内固定材料(金具)を使用することにより、ほとんどの場合、術後のギプスを約7-14日前後ではずすことができます。
  2. スポーツによる障害(足関節の捻挫・靱帯損傷、アキレス腱炎・アキレス腱付着部炎、足底腱膜炎など):子供さんから成人の方まで、上に述べたような下肢のスポーツ障害に対して専門的な立場から治療を行なっています。これらに対してレントゲンだけでなく、CTやMRIといった最新の医療器械を用いて正確な診断を早期に行うよう工夫しています。特に足関節に対する手術(軟骨損傷、遊離体摘出術など)においては関節鏡を利用することにより、できるだけ大きく切開せず、早期のリハビリが可能となるよう心掛けています。
  3. 年齢に伴う障害:足関節や母趾の付け根は加齢に伴い変形しこれが原因で痛みが生じることがあります(変形性足関節症、外反母趾、強剛母趾など)。これらに対して投薬、リハビリ、注射、装具療法といった保存療法や手術治療(関節鏡、骨切り術、関節固定術、外反母趾矯正手術など)を行なっております。
  4. リウマチに伴う障害(足関節変形や足趾変形など):足趾の変形、足関節の痛みに対する滑膜切除術、関節固定術などの手術的治療を行なっています。

股関節疾患(変形性股関節症、大腿骨頭壊死、大腿骨頸部骨折など)
大腿骨と骨盤の繋ぎ目を股関節と言います。股関節は運動範囲が極めて広い多軸関節で歩行時には関節自体に150~300㎏もの力が加わります。したがって無理がいき易いため様々な疾患を引き起こすと言われています。
 
1.変形性股関節症:股関節にかかるストレスにより軟骨がすり減ってしまう病気です。わが国では寛骨臼形成不全(骨盤の屋根が浅い病気)によって生じる関節症が約80%を占めます。関節症の進行具合や年齢などにより関節温存手術や人工関節置換術が選択されます。
 
2.特発性大腿骨頭壊死:大腿骨頭への血行が障害され骨が壊死する病気です。壊死の範囲が大きいと体重を支えきれなくなり、大腿骨頭がつぶれてしまいます。わが国では男性はアルコール多飲、女性はステロイド内服に関連して生じることが分かっています。
  壊死範囲や大腿骨頭のつぶれ具合、年齢などにより関節温存手術や人工関節置換術が選択されます。
 
3.大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折:大腿骨頭の軟骨の下にある骨が骨折する病気です。骨折した部分がつぶれるため大腿骨頭壊死と見間違うことがあります。高齢女性に多く発生し、脊椎の変形や骨盤の傾きなどで骨粗鬆症のある大腿骨頭に大きな力が加わることが原因ではないかと考えられています。大腿骨頭が急速につぶれていく場合もあるため注意が必要です。
 
4.関節リウマチ:関節の滑膜が炎症を起こし、骨や軟骨を破壊する病気です。股関節は荷重関節であるためリウマチのコントロールが悪い場合、急激に軟骨や骨が破壊されることがあります。骨盤の中心に向かって骨や関節が破壊される臼底突出が特徴的なレントゲン所見です。
 
5.大腿骨頸部骨折:大腿骨の根元に近い部分で生じる骨折で、わが国では年間20万人以上の方が罹患しています。70~80代の高齢女性に多いのが特徴です。大部分が軽微な転倒により生じることから、骨粗鬆症が原因と言われています。寝たきりによる合併症予防のため手術が行われることがほとんどで、骨折型により人工骨頭置換術や骨接合術(骨を繋ぐ手術)が選択されます。
 

【患者さまへ】

当院は東広島で唯一の総合病院であり、いろいろ持病をお持ちの方でも内科、外科を始めいろいろな科の先生と相談しながら治療を進めていくことが可能です。整形外科疾患の診断や治療方針決定のために必要な特殊検査(レントゲン、CT、MRI、超音波検査、血管造影、神経伝導速度測定、筋電図測定、血流測定など)もすべて施行できます。また、マルチスライスCT の導入により精密な3次元画像を高速で構成することができるようになりました。さらにマイクロコイルを使用したMRI撮影も可能となり、今まで撮影できなかった小さな病変も撮影できるようになりました。これらの装置は骨折治療にも応用されており、正確な病態把握に活用されています。

また、高齢化社会の到来とともに増加している、骨粗鬆症、あるいは筋肉減少症(サルコペニア)に対する啓蒙・相談も外来にて行っております。特に平成25年からは月2回、骨粗鬆症外来(要予約)を開始しており、診断・治療を行っております。整形外科的疾患の治療においては、リハビリテーションの比重が非常に高く、満足のいく機能回復を獲得するためには、適切なリハビリテーションの指導と実践が不可欠です。当院には理学療法士8名、作業療法士5名が常勤しており、医師とこれら専門のリハビリスタッフが一致協力して患者の病態とニーズに応じた最良のリハビリは何かを常に検討し治療を行っています。

【検査・手術日・日程】
 
午前 外来 外来 外来 外来 外来
午後 病棟回診
リハビリカンファレンス
不定期手術 手術日 脊髄造影、神経根ブロック 手術日
【手術件数】
  2017年度 2018年度 2019年度
外来手術 105 159 124
入院手術 741 680 820

医師紹介

診療部長 岸 和彦(きし かずひこ)

  • 臨床研修指導医
  • 日本整形外科学会認定整形外科専門医

昭和57年卒

平成4年4月より当センター勤務

専門分野:関節外科、脊椎外科、リウマチ外科、手外科、マイクロサージャリー

医長 今田 英明(いまだ ひであき)

  • 医学博士
  • 臨床研修指導医
  • 日本整形外科学会認定整形外科専門医
  • 日本手外科学会認定手外科専門医
  • 日本整形外科学会認定スポーツ医
  • 日本整形外科学会認定リウマチ医
  • 日本手外科学会代議員
  • 日本肘関節学会評議員
  • 日本骨折治療学会評議員
  • 日本整形外科学会上腕骨外側上顆炎ガイドライン策定委員会委員
  • 広島野球障害検診(HYMEC) 運営委員会代表理事
  • 広島ハンドクラブ世話人
  • 西中国外傷治療研究会世話人
  • 広島外傷治療研究会世話人

平成3年卒

平成15年10月より当センター勤務

専門分野:手・肘関節外科、外傷外科、スポーツ整形外科、マイクロサージャリー、リウマチ外科

医長 森 亮(もり りょう)

  • 医学博士
  • 日本整形外科学会認定整形外科専門医

平成13年卒

平成31年
4月より当センター勤務

専門分野:股関節外科

医師 藤岡 悠樹(ふじおか ゆうき)

  • 医学博士
  • 日本整形外科学会認定整形外科内科
  • 日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
  • 日本脊椎脊髄病学会、脊椎脊髄指導医

平成15年卒

令和2年4月より当センター勤務

専門分野:脊椎脊髄外科、整形外科一般

レジデント 神原 智大(かんばら ともひろ)

平成30年卒

平成30年4月より当センター勤務

レジデント 山﨑 修平(やまさき しゅうへい)

平成30年卒

平成30年4月より当センター勤務